欧州委が対ロ追加制裁案発表、電子部品など110億ユーロ規模の輸出禁止

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は15日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対するEUの追加制裁案を発表した。軍事利用される工業製品や電子部品などの輸出禁止を柱とする内容。禁輸規模は約110億ユーロに上る。

新たな輸出禁止の対象となるのは電子機器、特殊車両と機械部品、トラックや航空機のジェットエンジンの部品。アンテナ、クレーンなど軍事利用される建設関連の製品も含まれる。また、ドローン、ミサイル、ヘリコプターなどロシアの兵器に利用可能な製品の電子部品、一部のレアアース、サーマルカメラなども輸出を禁止する。

さらに、ウクライナのインフラ攻撃に利用されているドローンを提供するイランの7団体も制裁対象に加える。革命防衛隊の関連団体が含まれるという。

EUによる対ロシア追加制裁は第9弾。フォンデアライエン委員長によると、これによって前線で使われるハイテク製品のすべてが輸出禁止となる。

オリガルヒと呼ばれるプーチン政権を支える新興財閥がEUの制裁を逃れるため、資産を隠匿、売却するのを厳しく監視することも盛り込んだ。消息筋がロイター通信に明らかにしたところによると、ロシアの主要銀行を国際決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除する措置について、欧州委が新たにアルファバンク、ロスバンクなど4行を加えることも提案した。

EUは全加盟国の承認を得た上で、24日までに追加制裁を実施する予定。EUはミシェル大統領(欧州理事会常任議長)とフォンデアライエン委員長が3日にウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談した際、ロシアによる軍事侵攻から1年の節目を迎える24日までに追加制裁を発動する意向を表明していた。

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