欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2023/2/27

EU情報

加盟国が対ロシア制裁第10弾を承認、電子部品など110億ユーロ規模の輸出規制

この記事の要約

EU加盟国は24日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対する追加制裁案を全会一致で承認した。制裁内容の一部をめぐり協議は難航したが、侵攻開始から1年となる同日までに新たな制裁を発動するという公約をなんとか果たした形だ […]

EU加盟国は24日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアに対する追加制裁案を全会一致で承認した。制裁内容の一部をめぐり協議は難航したが、侵攻開始から1年となる同日までに新たな制裁を発動するという公約をなんとか果たした形だ。

EUによる対ロ制裁は今回が第10弾。軍事利用される可能性がある工業製品や電子部品などの輸出禁止を柱とする内容で、禁輸規模は約110億ユーロ(約1兆5,900億円)に上る。具体的には電子機器、特殊車両、機械部品、トラックや航空機のジェットエンジンの部品などが対象となる。ドローン、ミサイル、ヘリコプターなどロシアの兵器に利用可能な製品の電子部品や、一部のレアアース、サーマルカメラなども輸出を禁止する。

また、ウクライナのインフラ攻撃に利用されているドローンを提供するイランの7団体が今回初めて制裁の対象となった。

一方、ロシアの戦費調達を阻止するため、アスファルトや合成ゴムなどの輸入を制限する。タイヤ製造に使用される合成ゴムをめぐっては、ポーランドがより厳しい規制を求めて調整が難航した。ポーランド国営PAP通信によると、同国はウクライナの子どもたちがロシア軍に連れ去られた問題に対する制裁措置を検討するなどを条件に、最終的に制裁案を承認した。

追加制裁にはこのほか、新たにロシアの3銀行に対するEU域内資産の凍結や、ロシア政府系メディアRTおよびスプートニクのアラビア語放送の免許停止などが盛り込まれた。また、ロシア政府関係者や軍幹部など新たに121の個人・団体をEUへの渡航禁止や資産凍結の制裁対象に追加した。

ボレル外交安全保障上級代表は声明で「プーチン(露大統領)はウクライナへの違法な侵略をエスカレートさせている。今回発表した第10弾の制裁措置は、この残虐な戦争の継続に加担する個人や団体をターゲットにしている。EUはウクライナがロシアの残忍な侵略から解放されるまで、必要な限りロシアに対する圧力を強め続ける」と強調した。