ブルガリア政府は17日、同国が2024年1月に欧州単一通貨ユーロを導入するという目標を断念したと発表した。急激な物価高でインフレ率に関する基準を満たしていないことなどが要因だ。
ユーロ導入には前段階である欧州為替相場メカニズム(ERM2)に最低2年間加わり、自国通貨の対ユーロ標準値の変動率を上下15%以内に抑えることや、財政の健全化、消費者物価、長期金利の安定の計4項目で基準を満たす必要がある。
ブルガリアは今年1月にユーロを導入したクロアチアと同時にERM2に加わり、財政健全化の基準も満たした。しかし、物価安定が大きな障害となり、欧州委員会が22年6月に発表したユーロ導入を目指す国の準備状況に関する報告書で、ユーロ導入準備が整っていないとする判断を示していた。
ベルコヴァ財務相によると、インフレ率が22年末時点で14.3%と高水準にあることや、政局の混乱でユーロ導入に向けた法整備が遅れているため、目標達成が不可能となった。2年間で5回目となる4月2日の総選挙を経て、政府は改めてユーロ導入の作業を進める。25年1月を新たな導入目標とするが、順調にいけば24年7月の実現も可能としている。