富士通は1日、SaaS型ソフトウエア専門プロバイダーの独GKソフトウエアと企業結合契約を締結したと発表した。グローバル戦略の一環としてクラウド・SaaSビジネスへの移行を加速するとともに、顧客に新しいDXソリューションを提供していくのが狙い。今後は株式公開買い付け(TOB)を実施し、過半数株を確保する方針だ。GKはTOBへの応募を株主に推奨する意向を示している。
GKはリテール業界向けクラウドソリューションの有力企業で、1990年に設立された。世界の小売大手50社のうち22社が同社のソリューションを採用している。顧客にはアディダス、アルディ、コープ、エデカ、リドルなどが名を連ねる。独東部のシェーネック本社に加え、世界16拠点で事業を展開。2008年の株式上場以来、7倍以上の成長を遂げ、21年には売上高が1億3,080万ユーロに達した。
富士通はGKの共同設立者であるライナー・グレース最高経営責任者(CEO)など主要株主から計40.65%の株式を取得することですでに合意している。今後は現地子会社富士通NDソリューションズを通してTOBを実施し、全発行済み株式の取得を目指す。
買い付け価格は1株当たり190ユーロで、過去3カ月の加重平均株価を34.7%、2月28日の終値を31.0%上回る水準。総額は4億3,200万ユーロ(約622億円)となる。主要株主からの取得分も含め55%以上の確保をTOBの成立条件としている。TOBの成立後はGKを非上場化する考え。買収は手元資金で行う。