EUが銀行破綻処理スキーム見直しへ、欧州委が近く法案発表

欧州委員会は銀行が破綻した場合の破綻処理スキームを見直し、納税者に負担がかからないようにするための法案を近く発表するもようだ。ロイター通信などが12日、EUの内部文書をもとに報じた。金融機関の破綻処理に関するEU共通の枠組みが存在するにもかかわらず、実際には加盟国の国内法に基づく倒産手続きの下で清算されるケースが多いことから、関連法を改正して域内のすべての銀行にEUの破綻処理スキームが適用されるようにするという。

EUの銀行破綻処理スキームは、単一破綻処理メカニズム規則(SRMR)と銀行再建・破綻処理指令(BRRD)を中心に構築されており、破綻処理時に当該銀行の株主などに損失負担を求める「ベイルイン」の適用が前提となっている。これは2008年の金融危機に伴う銀行の破綻処理に際し、公的資金の注入(ベイルアウト)を実施して納税者に負担を強いたことに対する批判を受け、新たに導入された基本原理だが、実際にこの破綻処理スキームが適用されるのは金融システムの安定が脅かされるようなケースに限定され、相対的に重要性の低い中小の銀行が破綻した場合は国内法に基づく倒産手続きに沿って清算されている。

ロイター通信が入手した欧州委の草案によると、ユーロ圏の大手銀行を監督する欧州中央銀行(ECB)と、それ以外の中小の銀行を監督するEU各国の金融当局は、銀行が「破綻する、あるいは破綻しそうな重大なリスク」がある場合、早い段階で単一破綻処理委員会(SRB)に警告することが義務付けられる。また、欧州銀行監督機構(EBA)は経営難に陥った銀行を円滑に清算できるかチェックするとともに、加盟国でどのように破綻処理スキームが適用されているか検証する役目を担う。

草案は「規模やビジネスモデル、負債構成にかかわらず、EU域内のすべての銀行に対し、実情に応じて」破綻処理スキームを適用することで、「より良い公平な競争環境の確保、金融システムの安定と預金者の保護、連鎖破綻の防止、納税者の負担軽減」を実現することができると説明している。欧州委は18日にも法案を発表する見通しだ。

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