STマイクロと米社の半導体工場建設、欧州委が仏の公的補助承認

欧州委員会は4月28日、スイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスと同業の米グローバルファウンドリーズがフランスに共同で半導体工場を建設する計画について、フランス政府による国家補助を承認したと発表した。仏政府の措置は「欧州半導体法(案)」が規定する支援の枠組みに沿った内容で、欧州における半導体の安定供給とデジタル主権の確立に貢献すると判断した。

STマイクロとグローバルファウンドリーズは2022年7月、世界的な半導体不足に対応するため、仏南東部クロルにあるSTマイクロの既存工場の隣接地に新工場を建設すると発表した。回路線幅18ナノメートルの半導体向けウエハーを年最大62万枚生産する能力を持ち、27年までのフル稼働を目指す。仏政府は欧州半導体法に基づいて、投資総額が約74億ユーロ(約1兆1,114億ユーロ)に上る同プロジェクトを資金面で支援するため、欧州委に承認申請していた。

欧州委によると、STマイクロとグローバルファウンドリーズは仏政府から補助金(金額は未定)を受ける条件として◇半導体の供給不足が生じた場合、EUの優先順位に応じて発注を受ける◇次世代半導体技術への投資を継続する◇中小企業や第三者による研究開発を支援し、欧州における半導体エコシステムの強化に寄与する──ことで合意した。これにより、欧州委はEUの国家補助ルールおよび欧州半導体法に基づいて仏政府の支援策を承認した。

欧州委は22年2月、EU域内での最先端半導体の研究開発や生産を推進する戦略の柱として、欧州半導体法案を発表した。30年までに官民で430億ユーロを投じ、開発拠点や生産設備の増強を後押しするほか、有力メーカーの誘致にも力を入れ、東アジアなど域外への依存度を下げて安定供給を確保する。世界の半導体生産に占めるEUのシェアを現在の約10%から30年には20%以上に引き上げるという目標を掲げている。

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