欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2023/5/22

EU情報

23年のユーロ圏成長率、1.1%に上方修正=欧州委

この記事の要約

欧州委員会は15日に発表した春季経済予測で、ユーロ圏の2023年の域内総生産(GDP)実質伸び率を1.1%とし、前回(2月)の0.9%から0.2ポイント上方修正した。エネルギー高が一服したことなどを考慮したもので、前回に […]

欧州委員会は15日に発表した春季経済予測で、ユーロ圏の2023年の域内総生産(GDP)実質伸び率を1.1%とし、前回(2月)の0.9%から0.2ポイント上方修正した。エネルギー高が一服したことなどを考慮したもので、前回に続いて引き上げた。(表参照)

24年の予想成長率も上方修正し、1.5%から1.6%に引き上げた。EU27カ国ベースでは23年が1.0%、24年が1.7%。23年は0.2ポイント、24年は0.1ポイントの上方修正となった。

欧州委は22年11月に発表した秋季経済予測で、ユーロ圏の23年のGDP伸び率を0.3%とし、7月の1.4%から大幅に下方修正した。ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー価格の高騰、物価高などが景気を圧迫し、10~12月期から2期連続でマイナス成長となり、景気後退入りすると予想したためだ。

しかし、2月には暖冬の影響によるエネルギー消費の減少、天然ガスの脱ロシア依存が進んだことによるガス価格の低下などを受けて、大幅に上方修正。今回の予測では、10~12月期のマイナス幅が0.1%と小幅にとどまり、1~3月期には0.1%のプラスとなったことや、サプライチェーン混乱の混和、雇用市場の堅調なども評価し、さらに上方修正した。

ただ、インフレ率に関しては、賃上げが続いていることで、当初の想定より長期に高止まりが続くと予想。23年は5.8%、24年は2.8%とし、それぞれ前回の5.6%、2.5%から引き上げた。

主要国の23年の予想成長率はドイツが0.2%、フランスが0.7%、イタリアが1.2%、スペインが1.9%。フランスは0.1ポイント、イタリアは0.4ポイント、スペインは0.5ポイントの上方修正となった。ドイツは据え置いた。