シャドーバンクのリスクがユーロ圏銀行に波及、ECBが警告

欧州中央銀行(ECB)は5月30日、ユーロ圏の銀行とシャドーバンク(非銀行金融仲介機関=NBFI)の間のリスクの波及に関する分析結果をまとめ、ヘッジファンドや保険会社、資産運用会社などが重大な問題に直面した場合、ユーロ圏の大手銀行が深刻な打撃を受ける恐れがあると警告した。

ECBによると、ユーロ圏の銀行ではシャドーバンクによる預金やレポ取引などの資金が負債の13%を占め、大手行では15%を超える。シャドーバンクへの依存が高まることで、ユーロ圏の銀行は流動性や信用リスクに対してますます脆弱になっており、ファンドや年金基金などが資金流出に見舞われるなどで資金を引き揚げた場合、銀行に深刻な影響が及び、資金調達圧力が高まる可能性があると指摘している。

ECBはストレス時に銀行から資金が引き出される可能性を最大のリスクと位置づけ、「個人や法人顧客の預金に比べれば規模が小さいものの、ノンバンクからの預金は市場環境の変化に対して特に脆弱な可能性がある」と指摘する。

潜在的なリスク波及のもう1つの経路は、シャドーバンクが資産の売却を余儀なくされるケースで、デリバティブ取引などで銀行に損失が生じる恐れがあると分析している。

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