グリーンウォッシング、金融システム全体で「リスク増大」

欧州銀行監督機構(EBA)、欧州証券市場監督機構(ESMA)、欧州保険年金監督機構(EIOPA)の3機関で構成する欧州監督機関(ESA)は1日、欧州の金融セクターにおけるグリーンウォッシングの実態に関する調査の中間報告書を公表した。持続可能な投資商品に対する需要が急拡大する中、金融システム全体で投資家に誤解を与えるような環境主張が行われており、金融機関が持続可能性に関する取り組みを偽って説明するリスクが増大していると指摘。こうした慣行は持続可能な金融に対する信頼を損なう恐れがあると警告している。

3機関は欧州委員会の要請を受け、昨年11月からそれぞれ管轄する領域におけるグリーンウォッシングのリスク、規模、具体的な事例などについて情報収集を行っていた。ESAは2024年5月に最終報告書をまとめ、新たな規制の導入を含めて不適切な環境主張を排除するための具体策を提言する。

EBAによると、EU域内では銀行を含む全セクターでグリーンウォッシングの事例が明らかに増えており、特に問題なのは金融機関がクリーンエネルギーや環境分野への支援をアピールしながら、化石燃料や森林伐採、人権侵害につながるプロジェクトに融資している事実を明らかにしていないことだと指摘。具体例として、地元住民の反対を押し切ってオイルサンドから採取した原油を運ぶパイプラインを建設している企業への融資を「持続可能な開発」と説明している銀行などのケースを挙げた。

また、ESMAはこれまで調査から、資産運用会社や投資顧問会社などでも「チェリーピッキング、省略、曖昧さ、誇張を含む空虚な主張、誤解を招くESG用語の使用」などが散見されると指摘。EIOPAも保険や年金商品でグリーンウォッシングが消費者に重大な影響を与えていると警告した。

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