欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/8

総合 – 欧州経済ニュース

ECBが「来年初め」にも量的緩和実施、ドラギ総裁が表明

この記事の要約

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を過去最低となる現行の0.05%に据え置くことを決めた。金利据え置きは3カ月連続。一方、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユ […]

欧州中央銀行(ECB)は5日に開いた定例政策理事会で、ユーロ圏18カ国に適用される最重要政策金利を過去最低となる現行の0.05%に据え置くことを決めた。金利据え置きは3カ月連続。一方、ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、ユーロ圏の銀行が保有する国債などを買い入れる量的金融緩和の可否を「来年初め」に判断し、必要に応じて実施する意向を表明した。

ユーロ圏では債務危機が沈静化したが、景気回復はもたついており、7~9月期の域内総生産(GDP)伸び率は前期比0.2%にとどまった。インフレ率もECBが目標とする2%を大きく下回る前年同月比0.3%と低水準にあり、デフレ懸念が高まっている。ECBは同日発表した最新の内部経済予測で、2015年のGDP予想伸び率を1%とし、前回(9月)の1.6%から大幅に下方修正。予想インフレ率も1.1%から0.7%に引き下げた。

ECBは9月に金利を過去最低水準に引き下げたほか、市場への長期資金供給拡大、資産担保証券(ABS)、担保付き債券(カバードボンド)の買い入れを進めているが、これまでのところ大きな効果はなく、日・米や英国のような量的金融緩和の実施を求める圧力が強まっている。

ドラギ総裁は記者会見で、原油価格の下落でインフレ率がさらに縮小する恐れがあると指摘し、追加金融緩和として「非常的措置」の導入を検討していることを確認。これまでの金融緩和措置の効果を来年初めに検証した上で、量的緩和に踏み切る用意があることを言明した。

これまでにもドラギ総裁は量的緩和導入を示唆していたが、具体的な時期を明示したのは初めて。同措置の実施にはドイツが難色を示しているが、総裁は「理事会での全会一致は不要だ」と述べ、必要と判断すればドイツの反対を押し切ってでも量的緩和に踏み切る姿勢を示した。