欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/12/8

EU産業・貿易

保険会社ストレステスト、不合格は8%

この記事の要約

欧州保険年金監督機構(EIOPA)はこのほど、欧州の保険会社を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果を発表した。保険債務の準備金となる所要最小資本(MCR)が不足と判定されたのは全体の8%と低水準にとどまったが、よ […]

欧州保険年金監督機構(EIOPA)はこのほど、欧州の保険会社を対象としたストレステスト(健全性審査)の結果を発表した。保険債務の準備金となる所要最小資本(MCR)が不足と判定されたのは全体の8%と低水準にとどまったが、より厳しいシナリオを想定した所要ソルベンシー資本(SCR)については14%が不合格とされた。

同審査はEUで2016年1月に導入される保険会社の新資本規制「ソルベンシーⅡ」に対応しているかどうかを昨年末時点の各社の財務状況に基づいて検証したもの。EU28カ国とノルウェー、スイス、アイスランドの計60グループ、107社が対象となった。

所要ソルベンシー資本の基準を満たせなかった保険会社が対象地域の保険業界の資産総額に占める割合は3%となっており、欧州委員会のヒル委員(金融安定・金融サービス・資本市場担当)は1日発表した声明で、「概して状況は良好」とコメントした。ただ、EIOPAは超低金利が保険会社の投資収益、支払い余力を圧迫しており、日本のような低金利の長期化が続けば、所要ソルベンシー資本が不足する企業は24%に拡大すると警告している。

保険会社のストレステストでは、欧州中央銀行(ECB)の銀行検査とは異なり、対象企業は非公表。また、不合格となった企業は早急な資本増強を求められない。ただし、各国の当局に対応策を提示する必要がある。