欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/4/7

EUその他

英自動車産業、EU残留が不可欠=自工会

この記事の要約

英国内でEU離脱論が高まりをみせる中、英自動車工業会(SMMT)は2日、「英国の自動車産業とEU」と題する調査リポートを公表し、国内自動車産業が今後も国際競争力を維持し、成長を続けるためにはEU残留が不可欠との見解を示し […]

英国内でEU離脱論が高まりをみせる中、英自動車工業会(SMMT)は2日、「英国の自動車産業とEU」と題する調査リポートを公表し、国内自動車産業が今後も国際競争力を維持し、成長を続けるためにはEU残留が不可欠との見解を示した。リポートは「欧州は英国の自動車産業の現在そして将来にわたる成功の土台」であり、「英国のあらゆる自動車関連企業にとって、英国と欧州の強い結びつきが極めて重要な意味を持つ」と指摘している。

調査リポートはSMMTの委託で大手会計事務所KPMGがまとめた。これによると、「英国がEUを離脱した場合、事業に悪影響が及ぶ」と答えた企業が全体の90%以上を占め、75%が「EU離脱は今後の投資計画に悪影響を及ぼす」と答えた。

リポートはEU残留のメリットとして「単一市場へのアクセス、統合された欧州のサプライチェーン、技術革新を推進する豊富な資金、労働力の自由な移動、域内共通の規制や品質基準」などを挙げ、「EU加盟国という位置付けによって、投資先としての英国の魅力が一層増している」と指摘。SMMTのホーズ会長は「英国の自動車産業がとるべき立場は明確だ。強い欧州の一員であり続けることが将来に向けた成功のカギを握る」と強調した。

英国では70万人以上が自動車産業に従事しており、金融危機以降は好調な新車市場を受けて堅調な成長を続けている。生産拠点への投資も順調に拡大しており、2017年までに年産台数が40年ぶりに過去最高を記録するとみられている。SMMTによると、13年の英国における乗用車と商用車を合わせた総生産台数は約160万台で、EU向けの輸出が約半数を占めている。さらに英国からは主に欧州の自動車メーカー向けに、年間100万台以上のエンジンや数十億ポンド規模の自動車部品が輸出されている。