ポルトガル大手銀行バンコBPIの大株主であるアンゴラの大富豪イサベル・ドス・サントス氏が、同行とポルトガル大手銀ミレニアムBCPの合併を提案していることが3日分かった。スペインのカイシャバンクによるBPI買収に同意せず、横槍を入れた格好となる。
ポルトガルの上場銀行でミレニアムBCPは1位、BPIは4位となっている。カイシャバンクは2月中旬、44.1%を出資するBPIを買収すると発表。公開買い付け(TOB)を通じて全株式を取得し、完全子会社化する方針を打ち出していた。
ドス・サントス氏はBPIのカイシャバンクに次ぐ株主で、傘下の投資会社サントロ・ファイナンスを通じて株式18.6%を保有している。英フィナンシャル・タイムズなどによると、サントロ・ファイナンスはこのほどミレニアムBCP、BPI、カイシャバンクの最高経営責任者(CEO)に書簡を送り、カイシャバンクのBPI買収について、1株当たり1.329ユーロという価格がBPIを過小評価しているとして反対を表明。これに代わってミレニアムBCPとBPIの合併を提案し、両行の取締役会に協議入りを求めた。
これについてミレニアムBCPは、BPIが応じるなら合併を検討する用意があると表明。一方、BPIはコメントを控えている。
ミレニアムBCPは、アンゴラ国営石油会社が筆頭株主。BPIとの合併が実現して誕生する新銀行は、アンゴラ系資本が支配する銀行となる見通しだ。
アンゴラ大統領の娘であるドス・サントス氏はアフリカ有数の富豪として知られる人物。同氏はアンゴラの旧宗主国であるポルトガルでの事業基盤拡大を図っており、昨年に通信最大手ポルトガル・テレコムの買収に乗り出したが、失敗した経緯がある。