欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/3/23

総合 – 欧州経済ニュース

ギリシャの財政改革めぐる調整難航、新協議での進展なし

この記事の要約

EUのギリシャに対する金融支援をめぐる調整が難航している。ギリシャのチプラス首相とEU主要国の首脳らは19日夜から20日未明にかけて、支援延長の条件となっている同国の財政改革について協議したが、ギリシャ側が近日中に詳細な […]

EUのギリシャに対する金融支援をめぐる調整が難航している。ギリシャのチプラス首相とEU主要国の首脳らは19日夜から20日未明にかけて、支援延長の条件となっている同国の財政改革について協議したが、ギリシャ側が近日中に詳細な改革リストを提出することを約束するにとどまり、進展はなかった。

EUとギリシャは2月20日、同月末に期限を迎える金融支援を4カ月延長することで合意した。ただし、ギリシャが現行の金融支援の枠組みを原則的に踏襲し、財政改革などを推進することが条件で、同国は4月末までに改革の詳細を固めて承認を受けなければ、現行支援で最後となる72億ユーロの融資を受けることはできない。

ギリシャ政府は残る融資が実行されなければデフォルト(債務不履行)に陥る恐れがあり、早急にEUと改革の中身で合意する必要がある。しかし、1月に発足した新政権は反緊縮を掲げて総選挙で勝利しただけに、EUが求める改革に消極的で、双方の溝は埋まっていない。改革をめぐる実務者協議が11日に開始されたが、これまでのところ進展はなく、逆に財政再建に反するとして問題視されていた「人道危機」対策法案が18日にギリシャ議会で可決し、貧困層の家賃、食品購入費などを助成することが決まるなど、EU側の苛立ちが募っている。

今回の協議はEU首脳会議に合わせて、ギリシャの要望に応じて行われ、EU側からは独仏首脳や欧州委員会のユンケル委員長、トゥスクEU大統領(欧州理事会常任議長)、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁らが参加した。しかし、ギリシャ側から改革に関する新たな提案はなく、2月の支援延長合意を順守することを確認しただけで終わった。ギリシャは改革の詳細を数日以内に提示することを約束したものの、提出期限は設定されなかった。