欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/13

EUその他

独政府を欧州裁に提訴、発電所の魚保護対策めぐり

この記事の要約

欧州委員会はこのほど、ドイツ政府がハンブルク近郊の石炭火力発電所をめぐり、河川の生物を保護するための対策を怠ったとして、欧州司法裁判所に提訴したと発表した。 スウェーデンのバッテンファルが運営するこの石炭火力発電所はエル […]

欧州委員会はこのほど、ドイツ政府がハンブルク近郊の石炭火力発電所をめぐり、河川の生物を保護するための対策を怠ったとして、欧州司法裁判所に提訴したと発表した。

スウェーデンのバッテンファルが運営するこの石炭火力発電所はエルベ川流域のモーアブルクにあり、3月初旬に商業運転を開始したばかり。欧州委は、サケやヤツメウナギなど保護指定されている魚種が北海からエルベ川に遡上する際、同発電所の冷却塔の取水設備が危害を及ぼす恐れがあると指摘。ドイツ政府がこの発電所の建設を認可するにあたって、EUの生息地指令が定める適切な影響評価を実施せず、保護魚種の死滅を回避するための代替的な冷却プロセスの検証も怠ったとして、昨年11月に理由書付き意見書を送付し、2カ月以内に指令に沿った対策をとるよう求めていた。しかし、ドイツ側がこれに応じなかったため、欧州司法裁への提訴に踏み切った。

今回の提訴を受け、ハンブルク環境局の広報担当者はロイター通信に対し、発電所の建設にあたっては魚梯を設けるなど魚の保護にも配慮したと強調。「我々の主張には説得力があり、(裁判に)勝利する見込みはあると考えている」と述べた。