欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/4/20

EUその他

ネット検索で欧州委がグーグルに異議告知書、「アンドロイド」も本格調査へ

この記事の要約

欧州委員会は15日、米グーグルがインターネット検索市場で公正な競争を阻害した疑いがあるとして異議告知書を送付したと発表した。欧州委はグーグルが欧州のネット検索市場における支配的地位を乱用し、検索結果を自社に有利になるよう […]

欧州委員会は15日、米グーグルがインターネット検索市場で公正な競争を阻害した疑いがあるとして異議告知書を送付したと発表した。欧州委はグーグルが欧州のネット検索市場における支配的地位を乱用し、検索結果を自社に有利になるよう操作していると主張する競合他社からの訴えを受け、2010年から調査を進めていた。一方、欧州委はこれとは別に、グーグルのスマートフォン向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」についても本格調査に着手する方針を表明した。グーグルは今後10週間以内に反論書を提出したり、改善策を提示することができるが、最終的に欧州委が競争法違反と認定した場合、同社は多額の制裁金を科される可能性があり、欧州での事業戦略に影響が出る恐れもある。

欧州のネット検索市場でグーグルは約9割のシェアを握る。同社は制裁を回避するため、これまで複数回にわたり、検索結果で競合企業のロゴやリンク先のサイトを目立たせるなどの改善策を提示。これを受けて欧州委は昨年2月、グーグルに対する調査を打ち切る方針を固めたが、利害関係者に意見を聞く市場テストを実施したところ、マイクロソフトをはじめとする競合他社から「対応が不十分」との苦情が寄せられ、和解合意に至らなかった。

欧州委はグーグルが検索結果ページで自社の商品価格比較サイト「グーグルショッピング」を優先的に表示することで、競合するサービスを不利な立場に置き、結果的に消費者の選択を狭めているとの見方を強めている。今回の異議告知書はグーグルショッピングを対象としたものだが、欧州委は幅広いサービスについて競争法に基づく調査を進めている。

一方、アンドロイドに関しては、グーグルがスマホ市場での支配的な地位を乱用し、端末メーカーと反競争的な契約を結んでアンドロイドの採用を強制したり、競合他社のOSやアプリケーションを市場から締め出していないかが焦点となる。

欧州委が最終的にグーグルの商慣行を競争法違反と認定した場合、同社は最大で年間総売上高の10%に相当する60億ユーロ規模の制裁金を科される可能性がある。競争法違反に対する制裁金では、09年に米半導体大手インテルに科した11億ユーロがこれまでの最高額。なお、米マイクロソフトはパソコン用OS「ウィンドウズ」と音楽・映像再生ソフトのセット販売が競争法違反と認定され、総額20億ユーロ以上を支払っているが、是正措置の不履行に対する追加制裁が大部分を占めている。

欧州委の発表を受け、グーグルは公式ブログに声明を掲載。「グーグルは最も広く利用されている検索エンジンかもしれないが、ユーザーは他にもさまざまな方法で情報を見つけることができる。当社の商慣行が消費者やライバルに損害を与えているとの指摘は的外れだ」と反論している。また、アンドロイドに関しては、競合するアップルのスマホ向けOSを引き合いに出し、「アンドロイド端末に標準搭載されているグーグルのアプリケーションは、iOS搭載端末に標準搭載されているアップルのアプリよりはるかに少ない」と指摘。「アンドロイドの普及で消費者、端末メーカー、アプリ開発者はそれぞれ恩恵を受けている」と主張している。