欧州議会は11日、国際サッカー連盟(FIFA)の汚職事件を受けて、ブラッター会長の即時辞任を求める決議案を採択した。FIFAは12月から来年2月までの間に臨時総会を開いて会長選挙を実施する方針で、ブラッター氏は後任が決まるまで引き続き会長職を担う考えだが、欧州議会はただちに暫定的な会長を選出して速やかに改革に着手するよう求めている。決議に法的拘束力はないものの、FIFAに対する圧力を強めて組織改革を促す狙いがある。
FIFAをめぐっては、試合のテレビ放映権をはじめとする利権に絡んだ巨額収賄などの疑いで前副会長を含む14人が米司法省に起訴されたほか、2018年と22年のワールドカップ(W杯)招致をめぐり不正があった疑いで、スイスの司法当局が捜査を進めている。退任圧力が強まるなか、ブラッター氏は先月末に行われた会長選で5選を果たしたものの、今月2日には辞意を表明。ただし、次期総会で新会長が選出されるまでは現職に留まる意向を示している。
欧州議会はブラッター氏の辞任表明を歓迎したうえで、「一連の汚職疑惑は世界的な人気スポーツであるサッカーの信用を著しく損ねた」と批判。組織の腐敗を払拭してFIFAに対する信頼回復を回復するには、速やかにトップが交代して改革に着手する必要があると指摘し、「透明かつ包括的な方法」で、ただちにブラッター氏に代わる暫定的な会長を選出するよう求めている。
欧州議会はこのほか、FIFA倫理委員会の責任者として、18年と22年のW杯開催地選考をめぐる調査を指揮した元米検事マイケル・ガルシア氏がまとめた報告書の全面公開も併せて要求している。同氏はFIFAがこの「ガルシア・レポート」の全面公開を拒否したことを理由に調査責任者を辞任した経緯がある。