欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/7/6

EU情報

EU議長国と欧州議会が保険販売指令案で合意、仲介者規制を強化・拡大

この記事の要約

EU議長国ラトビアと欧州議会は6月30日、保険分野における消費者保護を目的とする「保険販売指令(Insurance Distribution Directive=IDD)」の内容で合意した。保険仲介者に監督機関への登録を […]

EU議長国ラトビアと欧州議会は6月30日、保険分野における消費者保護を目的とする「保険販売指令(Insurance Distribution Directive=IDD)」の内容で合意した。保険仲介者に監督機関への登録を義務付けることなどを定めた「保険仲介者指令(Insurance Mediation Directive=IMD)」(2002年採択)の改正案にあたるもので、消費者が正確な情報に基づいて商品を選択できるよう、保険商品を販売するすべての事業者に対し、十分な情報開示や専門的な立場からの助言を義務付けることなどを盛り込んだ内容。今後、欧州議会と閣僚理事会で指令案について審議する。

EUでは金融危機を契機として金融セクターにおける規制・監督の見直しが進められ、こうした流れの中で欧州委員会は2012年7月、金融サービス分野における消費者保護の強化を目的とする法案パッケージを発表した。個人向けの投資商品や保険商品の販売に際してリスク情報や適切な助言が十分に提供されず、目的に適さない商品を購入して大きな損害を受けるといった事態を防ぎ、金融サービスに対する消費者の信頼を回復するのが狙いで、その一環として保険仲介者指令の改正案が提示された。

現行指令はブローカーや代理店などの仲介者が規制の対象となっているのに対し、新指令はあらゆる販売チャンネルに範囲が拡大され、保険会社が直接、個人に保険商品を販売する際にも規制が適用される。具体的には、保険商品を販売するすべての事業者は複雑な商品販売に対応できるよう、販売者の専門的知識を高めて消費者に的確な助言を提供しなければならない。また、顧客に不当な利益が及ぶことのないよう、利益相反を特定し、適切に管理してリスクの低減に努めることが義務付けられる。指令案にはこのほか、保険仲介者が国境を越えて活動しやすくするため、加盟国間で登録手続きを共通化することや、違反した事業者に対する処分や罰則を域内で統一することなどが盛り込まれている。