欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/8/24

EU情報

EUへの難民・移民が7月に初の10万人超え、年初からの累計は34万人に

この記事の要約

EUの国境管理を担う欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)は18日、7月にEU域内に入った難民や移民が10万7,500人に上ったと発表した。2008年の統計開始以来、1カ月の流入者が10万人を超えたのは初めて。FRO […]

EUの国境管理を担う欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)は18日、7月にEU域内に入った難民や移民が10万7,500人に上ったと発表した。2008年の統計開始以来、1カ月の流入者が10万人を超えたのは初めて。FRONTEXは増え続ける難民・移民への対応に苦慮するギリシャやイタリアなどの負担を軽減するため、すべてのEU加盟国に対して資金面や人的側面での連携強化を呼びかけている。

FRONTEXによると、域内に入った難民・移民は3カ月連続で過去最多を更新している。今年1月-6月の累計は約34万人に達し、早くも昨年1年間の28万人を大幅に上回った。紛争が続くシリアやアフガニスタンからの難民や移民が大部分を占め、全体の半数近くがトルコを経由して、隣接するコス島などギリシャ南東部の島に上陸している。

FRONTEXのレッジェーリ事務局長は、多くの難民・移民が押し寄せているギリシャ、イタリア、ハンガリーでは当局の対応が追いつかず、「過去に例のない圧力がかかっている」と指摘。「欧州にとって緊急事態だ。すべてのEU加盟国が連携して対策を強化しなければならない」と強調した。

一方、ドイツ政府は19日、同国への難民が15年は最大で80万人に達するとの予測を明らかにした。中東などからEUに押し寄せる難民や移民の約4割がドイツで保護申請しており、昨年は20万3,000人が亡命を申請した。デメジエール内相は会見で、「欧州全体で有効な難民政策を実現できなければ、出入国管理のない状態で国境を維持することは難しい」と発言。他の加盟国に対して「相応の分担」を求めると共に、急増する難民・移民問題を背景にシェンゲン協定が岐路に立っているとの認識を示した。