独化学大手のランクセスが、主力の合成ゴム事業を合弁会社化する方向で英・スウェーデン資本の同業イネオスと交渉しているもようだ。ロイター通信が消息筋の情報として伝えたもので、実現するとランクセスは原料を安定確保できるようになる。ランクセスは問い合わせに「常に複数の企業と交渉している」と回答するにとどめ、報道内容の確認は避けた。
合成ゴムはランクセスの売上高(2014年:80億ユーロ)の3分の1以上を占める最大の事業だが、業界の生産過剰とそれに伴う価格下落を受けて2年前から収益力が低下。同社は人員削減や生産拠点の統廃合に取り組んできた。同事業の強化に向けては他社との提携も模索している。
イネオスは合成ゴムの原料であるブタジエンを製造。合成ゴムそのものは手がけていない。ランクセスのマティアス・ツァッヒェルト社長は以前、合成ゴムメーカーとの提携よりも川上メーカーとの後方統合の好ましいとの立場を示しており、イネオスは格好の提携先候補と目されている。
消息筋の情報によると、ランクセスは石油化学大手のNKNK、シブール(ともにロシア)、サウジアラムコ(サウジアラビア)の3社とも交渉を行った。うちサウジアラムコはランクセスの合成ゴム事業を完全買収する考えを示したため、すでに破談になったという。