欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/9/28

西欧

英政府、ヒンクリーポイント原発に20億ポンド支援

この記事の要約

英政府は仏電力最大手のフランス電力公社(EDF)などが中国企業と組んでイングランドに原子力発電所を新設する事業に対して、20億ポンドの金融支援を実施することを決めた。オズボーン財務相が21日、中国を訪問中に明らかにした。 […]

英政府は仏電力最大手のフランス電力公社(EDF)などが中国企業と組んでイングランドに原子力発電所を新設する事業に対して、20億ポンドの金融支援を実施することを決めた。オズボーン財務相が21日、中国を訪問中に明らかにした。

対象となるのは、EDFが中国の広核集団(CGN)、中国核工業集団(CNNC)と共同でイングランド南西部のヒンクリー・ポイントに原発を新設する160億ポンド(約217億ユーロ)規模のプロジェクト。オズボーン財務相によると、英政府は各社に20億ポンドの信用を供与することで、同事業推進に向けた資金調達を支援する。

同事業では仏原子力会社アレバが開発した欧州加圧水型原子炉(EPR)2基を設置する。出力は1,650メガワットで、英国の電力需要の約7%を賄う能力を持つ。英国での原発新設は1995年以来約20年ぶり。福島第1原発の事故後に欧州で建設される初の原発となる。ただ、3社による投資は正式決定しておらず、年内に最終判断する見通しとなっている。

既存の原発を含む多くの発電所で耐用期限が迫っており、新たな電力供給源の確保が急務となっている英政府は、同計画を支援するため、同原発に35年間にわたって電力固定価格買い取り制度(FIT)を適用し、取り決めた価格が電力卸売市場の価格を下回った場合に政府が差額を補填する方針を決定済み。新たな金融支援を確約することで、計画実現を確定させたい考えだ。

さらにオズボーン財務相は、中国がヒンクリー・ポイント原発に出資すれば、中国企業が将来的に英国で独自の原発建設・運営を認められる可能性を示唆した。