欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/10/12

EU情報

中規模燃焼施設の排出規制、指令案が可決

この記事の要約

欧州議会は7日の本会議で、中規模燃焼施設から排出される大気汚染物質を規制する指令案を賛成多数で可決した。石油精製所などの大規模燃焼施設についてはすでに汚染物質の排出規制を実施しているが、地域暖房システムやバイオマスを燃料 […]

欧州議会は7日の本会議で、中規模燃焼施設から排出される大気汚染物質を規制する指令案を賛成多数で可決した。石油精製所などの大規模燃焼施設についてはすでに汚染物質の排出規制を実施しているが、地域暖房システムやバイオマスを燃料とする発電設備など、新たに熱出力1~50MW(メガワット)の中規模施設を対象に、施設ごとに排出上限値を設定して削減を義務付ける。EU閣僚理事会の正式な承認を経て新規制が導入される。

EUでは人体に悪影響をもたらす大気汚染物質の制限値を設定し、加盟国にモニタリングと削減計画の策定・実施を義務付けた「大気質枠組み指令」をはじめとするさまざまな規制が導入されている。しかし、多くの国で達成期限を過ぎても汚染物質の濃度が規制値を超えているのが実情。欧州委はこうした現状を改善するため、2013年12月に「クリーンエア・プログラム」と名付けた規制強化策を打ち出し、その中に中規模燃焼施設を対象とする汚染物質排出制限指令が盛り込まれていた。

指令案によると、規制の対象となる汚染物質は二酸化硫黄(SO2)、窒素酸化物(NOx)、微小粒子状物質の3種類。規制は施設の規模によって2段階で実施され、熱出力5~50MWのプラントは2025年、1~5MWのプラントは2030年から排出上限値の順守が義務付けられる。一方、新規施設は規模に関係なく、新指令の施行から3年以内に基準値を達成する必要がある。

なお、加盟国はEU指令より厳しい排出上限値を設定することができ、大気汚染物質の濃度がEUの基準値を超えている地域にある燃焼施設に関しては、より厳格な規制の導入を検討することが求められる。