欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/10/26

EU情報

トルコとEUの加盟交渉、キプロスは進展認めず

この記事の要約

キプロス政府は19日、同国の分断問題をめぐって対立するトルコとEUの加盟交渉について、交渉進展への拒否権を取り下げない意向を表明した。EUが難民問題でトルコの協力を取り付けるため、加盟交渉を加速させようとしていることをけ […]

キプロス政府は19日、同国の分断問題をめぐって対立するトルコとEUの加盟交渉について、交渉進展への拒否権を取り下げない意向を表明した。EUが難民問題でトルコの協力を取り付けるため、加盟交渉を加速させようとしていることをけん制した格好となる。

トルコとEUの加盟交渉は2005年に開始されたが、トルコが北キプロスを国際社会で唯一承認し、EU加盟国であるキプロス(ギリシャ系の南キプロス)の国家承認を拒否していることや、イスラム教国であるトルコの加盟にドイツなどが消極的で、交渉は停滞している。35に上る交渉項目のうち交渉開始にこぎ着けたのは14項目、完了したのは1項目だけという状態だ。とくにキプロスがトルコの姿勢に猛反発し、エネルギー、司法など重要6項目の交渉開始に拒否権を発動していることが大きな障害となっている。

シリアなど中東から難民が大量流入している問題への対応に苦慮するEUは、難民の中継地となっているトルコとの連携強化を図っており、同国への見返りとして加盟交渉を進展させたい考えだ。しかし、キプロスのカスリーディス外相は19日、国内メディアとのインタビューで、トルコがキプロスを承認しておらず、キプロス籍の航空機と船舶の国内寄港を認めていない現状では、「拒否権発動を解除する理由はない」とコメント。アナスタシアディス大統領も同日、同様の見解を示し、6項目の交渉開始を認めない方針を示した。