欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2015/10/26

西欧

フェラーリがNY証取に上場、ブランド力背景に好調な滑り出し

この記事の要約

イタリアの高級車メーカー、フェラーリが21日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に株式を上場した。投資家の人気を反映して初値は60ドルと、公募価格の52ドル(仮条件レンジの上限)を上回った。終値は55ドルで、時価総額は約 […]

イタリアの高級車メーカー、フェラーリが21日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に株式を上場した。投資家の人気を反映して初値は60ドルと、公募価格の52ドル(仮条件レンジの上限)を上回った。終値は55ドルで、時価総額は約104億ドル(約1兆2,500億円)に達した。

フェラーリの銘柄コードは「RACE」。親会社でフェラーリの株式90%を保有する欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は、IPOに合わせて持ち株の約10%を売り出した。FCAは成長戦略の一環として「ジープ」「アルファロメオ」「マセラティ」の生産拡大を柱とする480億ユーロ規模の投資計画を打ち出しており、資金調達のため約1年前からフェラーリの上場準備を進めていた。FCAは来年初めに残るフェラーリ株を自社の既存株主に割り当て、同部門を完全に分離・独立(スピンオフ)させる方針を表明している。

このところ低調気味だったIPO市場の懸念をよそにフェラーリの上場は好調な滑り出しとなったが、長期的に高い市場価値を維持できるか疑問視する向きもある。ブランド価値を高めるため生産台数を制限(今年までは年産7,000台以下)する戦略や資本集約型のビジネスモデルが足かせになるといった見方があるほか、スピンオフでフェラーリ株の希少性が低下することも予想される。