欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/19

西欧

スイスの最低賃金制導入、国民投票で否決

この記事の要約

スイスで18日、最低賃金制導入の是非を問う国民投票が実施され、反対多数で否決された。実現すれば最低時給が22スイスフラン(約25ドル、18ユーロ)に設定され、世界最高の最低賃金となるはずだったが、76.3%が反対し、導入 […]

スイスで18日、最低賃金制導入の是非を問う国民投票が実施され、反対多数で否決された。実現すれば最低時給が22スイスフラン(約25ドル、18ユーロ)に設定され、世界最高の最低賃金となるはずだったが、76.3%が反対し、導入はならなかった。

最低賃金制の導入は、労働組合が所得格差是正や物価上昇に対応するため必要として求めていたもの。左派政党が支持していた。最低時給は米国の7.25ドル、フランスの9.43ユーロを大きく上回り、世界最高水準となる。

これに対して政府と経済界は、同制度が導入されれば企業に大きな打撃を与え、スイス経済の競争力が低下するほか、単純労働者などの解雇が避けられないとして反発していた。

一方、今回の国民投票では、政府が次期戦闘機としてスウェーデンのサーブ社から「グリペンE」22機を総額31億スイスフラン調達することも反対53.4%で否決された。政府は国防力増強のため必要と理解を求めていたが、巨額を投じてまで新戦闘機を配備する必要性はないとの意見が多数を占め、実現に至らなかった。