EU統計局ユーロスタットが5日発表したユーロ圏の2015年12月のインフレ率(速報値)は前年同月比0.2%となり、前月と同水準だった。物価の上昇は3カ月連続。ただ、予想の0.3%を下回り、依然として欧州中央銀行(ECB)が目標とする2%程度を大きく割り込んでいる。
分野別ではエネルギーがマイナス5.9%だった。下げ幅は前月の7.3%から縮小したものの、原油安で下落が続いている。工業製品は0.5%、サービスは1.1%の幅で上昇した。価格変動が激しいエネルギー、食品・アルコール・たばこを除いた基礎インフレ率は前月と同水準の0.9%となった。
ECBは12月、デフレ回避策として追加の金融緩和を決め、国債などを買い取る量的緩和の実施期間を17年3月まで6カ月延長したほか、民間金融機関が手元資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)のマイナス幅を0.2%から0.3%に拡大した。しかし、予想されていた国債買い取り規模の拡大は見送られ、マイナス金利の拡大幅も予想を下回ったことから、市場では失望感が広がった。インフレ率が12月も低水準にとどまったことで、追加緩和を求める圧力が強まりそうだ。