欧州委員会は8日、米物流大手フェデックスがオランダ同業TNTエクスプレスを買収する計画を承認したと発表した。国際小口輸送市場では強力なライバルが常に激しいシェア争いを展開しており、両社の統合によって公正な競争が阻害される恐れはないと判断した。
フェデックスは昨年4月、TNTを44億ユーロで買収することで合意。6月にEUに認可を申請した。欧州委は両社の取引を認めた場合、欧州では大規模な輸送ネットワークを持ち、集荷から配送までドアツードアの小口輸送サービスを提供する「インテグレーター」が現在の4社から3社に減り、寡占化が進むことで価格上昇を招く可能性があると判断。昨年7月から本格調査を進めていた。
欧州委はフェデックスによるTNT買収が実現しても、統合新会社は引き続きドイツポスト傘下のDHLや米UPSとの厳しい競争にさらされると指摘。電子商取引の急速な普及を背景に、小口輸送サービスの需要が拡大するなか、両社の合併によって域内の消費者や事業者が不利益を被る可能性は極めて低いと判断し、買収計画を承認したと説明している。
TNTをめぐっては、2012年にUPSによる買収が合意に至ったものの、欧州委が域内の多くの市場で公正な競争が阻害されると結論づけ、計画を阻止した経緯がある。