スウェーデンの入管当局は4日、難民や移民の流入を抑制するための措置として、デンマークからの入国者に対して国境で身分証の検査を開始した。これを受け、デンマークも同日、ドイツとの国境で同様に入国審査を強化すると発表した。
スウェーデンは昨年、中東などから約16万3,000人の難民を受け入れ、人口当たりの難民受け入れ数が欧州で最多となっている。同国は伝統的に寛容な移民政策をとってきたが、ドイツからデンマーク経由で入国する難民らが後を絶たないため、流入を抑制するための措置に踏み切った。具体的にはデンマークとの国境で検問を行い、入国者にパスポートなど身分証の提示を求めて本人確認を行う。
一方、デンマークでも南部のドイツとの国境で身分証の検査を実施する。当面は10日間の時限措置だが、延長される可能性もある。
スウェーデンとデンマークは共にEU内での国境管理を廃止した「シェンゲン協定」に加盟しており、通常は身分証なしで自由に国境を通過することができる。入国審査が実施された4日には両国を結ぶ電車やバスに大幅な遅れが出たほか、パスポートを持たない旅行者が国境で足止めされるなどの混乱が生じた。