電機大手の独シーメンスは1月25日、米国の産業用ソフトウエア会社CD-アダプコを買収することで合意したと発表した。買収額は9億7,000万ドル。シーメンスは同買収によって、中核に位置づける産業向け事業を強化する。
CD-アダプコは1980年創業。液体や気体の流れを解析するソフトなどで知られ、製品は自動車用エンジンの開発など幅広い分野で使われている。売上高は過去5年間に年平均15%のペースで増えており、昨年度は2億米ドルに上った。
シーメンスは消費者向け事業を縮小し、収益力の高いエネルギー、オートメーション、デジタル関連部門に軸足を置く戦略を進めている。今回の買収はデジタル部門の拡充が狙い。CD-アダプコは製品の開発、設計、生産から出荷後のサポートなどを手がける製品ライフサイクル管理(PLM)部門に組み入れる。
シーメンスが同日発表した2015年10~12月期(第1四半期)決算の純利益は15億5,700万ユーロとなり、前年同期から42%増加した。新規受注が27%増の228億ユーロに伸びたほか、ユーロ安が追い風となって収益が拡大した。売上高は8%増の188億9,100万ユーロだった。
一方、シーメンスはスペインの風力発電タービン大手ガメサの買収に乗り出しているもようだ。スペインのメディアが29日報じたもので、ガメサの筆頭株主である現地エネルギー大手イベルドローラと協議を進めているという。