欧州委員会は4日、米ケーブルテレビ(CATV)大手リバティ・グローバルがベルギーの携帯電話サービス大手ベースを買収する計画を承認したと発表した。リバティが提案した競争上の是正策を実施することが条件となる。
ベースはオランダ通信最大手KPNの子会社で、プロキシマス、モビスターに次ぐ国内3位の携帯電話サービス会社。リバティは2015年4月、ベルギー子会社のテレネットを通じて、13億2,500万ユーロで買収することで合意していた。
テレネットは固定回線を使った電話、インターネット接続サービスのほか、携帯電話サービスも展開しているが、自前の回線を持たない仮想移動体通信事業者(MVNO)にとどまっている。ベース買収によって同社の顧客と通信インフラを取り込み、同サービスを強化できる。
欧州委は8月に開始した初期調査の結果、テレネットのMVNO事業が急成長し、これがベルギーの携帯電話料金を引き下げる効果が生じていることを確認した上で、ベース買収によって競争が弱まり、料金が値上がりする恐れがあると判断。承認を見送り、10月から本格的な調査を行っていた。
これに対してリバティは承認を取り付けるため、◇ベースが同社の回線を利用してMVNO事業を展開しているモバイル・バイキングの株式持ち分をベルギーのメディア企業メディアラーンに売却する◇ベースがメディアラーンと提携して手がけている携帯電話サービスの顧客をメディアラーンに移管する◇ベースがメディアラーンのMVNO事業を支援するため、メディアラーンがベースの通信回線を有利な条件で利用できるようにする――という是正策を提案。欧州委はこれによって競争上の問題が解消されるとして、その実施を条件に買収を認可した。