欧州委員会は2日、新たなテロ対策の一環として、テロリストへの資金の流れを断つための行動計画を発表した。資金の流れを監視することでテロリストの行動を追跡し、資金源を根絶してテロ活動を根元から封じるのが狙い。早期実施に向け、欧州委が6月末までに関連法の改正案をまとめる。
昨年11月のパリ同時テロを受け、フランス政府がEUに求めていた対策の多くが行動計画に反映された。具体的には匿名性の高い仮想通貨での取引がテロ組織の資金調達や資金洗浄に利用される可能性があることから、実際の通貨と交換する際は取引所に身元確認を義務づけ、匿名で取引できないようにする。また、パリ同時テロでは実行犯が電子マネーのプリペイドカードを使って車両を調達するなど、テロの準備を進めていたとされることから、カード利用時についても身元確認を導入する。
行動計画にはこのほか◇資金洗浄対策が不十分な国からの資金移動に対する監視を強化するため、金融機関に共通の手続きによるチェック体制の強化を求める◇金融当局の権限を強化して口座情報にアクセスしやすくする◇資金洗浄に対する罰則を強化する◇国連安全保障理事会決議に基づく資産凍結措置を確実に実施する――などが盛り込まれている。