銀行株急落、「ベイルイン」とは無関係=ユーロ圏財務相会合議長

ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は11日、欧州で銀行株の下落が進んでいることについて、ユーロ圏の銀行の破綻処理一元化に伴って導入された「ベイルイン」制度が一因になっているとの見方を否定し、同制度を運用していく意向を表明した。

ユーロ圏では1月、銀行が危機に陥った際の救済、破綻処理の手続きを一元化する「銀行再生・破綻処理指令(BRRD)」が発効した。その柱のひとつとなるベイルイン制は、危機に直面する銀行に「単一破綻処理基金」と呼ばれる共通基金を使って資金を注入する前に、対象銀行の債権者と大口預金者に負担を迫るというものだ。2008年の金融危機で経営難に陥った域内の銀行を支えるため、巨額の公的資金注入を迫られた経験を踏まえて導入された。

欧州の銀行の株安をめぐっては、不良債権や欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利導入、新興国経済の失速といった問題に加えて、ベイルイン導入で銀行の信用力が低下し、投資家が持ち株を手放していることも影響しているとの見方が広がっている。しかし、デイセルブルム議長はユーロ圏財務相会合後の記者会見で、「市場と投資家はベイルインのルールに十分対応できる」と述べ、株価急落との関連性はないと指摘。ユーロ圏の金融安全網である欧州安定メカニズム(ESM)のレグリング最高経営責任者(CEO)も、銀行株はユーロ圏外の英国、米国、スイスなどでも進んでいるとして、同様の見解を示した。

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