中東などから欧州への難民や移民の流入が続くなか、オーストリア政府は17日、難民申請の受け付けを1日当たり80人に制限すると表明した。同国を経由してドイツなど他の国を目指す移民や難民に関しても、1日に入国を認める人数を3,200人に制限する。EU諸国が1日当たりの難民申請に上限を設けるのは異例で、欧州委員会はオーストリアに見直しを求めていたが、予定通り19日から実施に踏み切った。
中東からドイツなど西欧諸国を目指す難民や移民の多くはバルカン半島を北上し、スロベニアからオーストリア南東部シュピールフェルトに流入している。オーストリアは昨年1年間に約9万人を受け入れたが、今年は3万7,500人に制限する方針を打ち出している。ミクルライトナー内相は16日、イタリア、スロベニア、ハンガリーとの国境合わせて12カ所に新たな検問所を設けると発表。続いて17日には難民流入が「限界に達した」として、1日当たりの難民申請に上限を設ける方針を明らかにした。
欧州委のアブラモプロス委員(移民・内務・市民権担当)はオーストリアの決定を受け、18日までにミクルライトナー内相に書簡を送付。難民申請の受け付け制限は「EU法や国際法との整合性を欠く」と指摘し、再考を求めていた。
オーストリアが難民や移民の受け入れ制限に踏み切ったことで、周辺国で流入抑制策を強化する動きが広がりつつある。スロベニアはオーストリアと同様、1日に入国を認める人数に上限を設ける方針を表明しており、他の国々も追随する可能性がある。