欧州委員会は15日、感染症の発生などEU内外での緊急事態に医療チームや必要な資材を迅速に投入するため、「欧州医療隊(European Medical Corps)」を創設したと発表した。重大な自然災害やテロなどへの緊急対応を目的とする「EU市民保護メカニズム」の一環として、EU加盟国とスキームに参加する欧州諸国が連携して公衆衛生に関わる緊急事態に対応する。
EUは西アフリカを中心にエボラ出血熱の感染が拡大した際、迅速に対応できなかったことを教訓として、欧州医療隊を発足させた。EU28カ国と域外の5カ国(ノルウェー、アイスランド、マケドニア、モンテネグロ、セルビア)が参加するEU市民保護メカニズムと同様、欧州の非加盟国もスキームに参加。欧州委の人道援助・市民保護総局が管轄する緊急対応調整センター(ERCC)が核となり、医師や看護師に加え、公衆衛生の専門家、航空機やヘリなどの医療搬送手段、移動式のバイオセーフティー施設(細菌やウイルスなどを取り扱う実験施設)、物流支援チームなどを内外の現場に派遣する。
欧州委によると、これまでにフランス、ドイツ、スペイン、オランダなど9カ国が要員や機器の提供を表明している。スティリアニデス委員(人道援助・危機管理担当)は「エボラ出血熱の教訓から、医療チームの迅速な投入が最大の課題であることを学んだ」と述べ、緊急事態の発生に備えて他の国々に早期の参加を呼びかけた。