ポーランド政府、経済25カ年計画を閣議決定

ポーランド政府は16日、5本の柱からなる新経済計画(「25カ年計画」)を閣議決定した。高所得国への脱皮ができない「中所得国のわな」の回避を主眼とする内容だ。しかし、リベラル派からは政府介入の拡大を批判する声が上がっている。

1つ目の柱は、再工業化の推進。約20業界に絞り込んで支援を行い、生産性に優れた企業と専門性の高い職場を生みだす。2つ目はイノベーション力のある新企業に対する支援で、起業の手続きを簡易化するとともに、研究開発を支援する。 3つ目は、ポーランド資本による投資拡大だ。個人年金加入や社員持ち株制度の促進により、国民の貯蓄率を高めて運用を促す。

4つ目として、ポーランド企業の事業国際化を推進する。5つ目は構造的な弱さを抱える地域の発展支援で、今後25年間で総額1兆ズロチ(2,287億ユーロ)の投資を実現する。その半分は欧州連合(EU)からの助成金で賄う。また、企業に留保金を投資に生かすよう促す。欧州復興開発銀行(EBRD)や世界銀行といった国際機関との提携プロジェクトの枠内で供給される資金は最大800億ズロチと推測されている。

新経済計画の実務を担当する機関として、「ポーランド開発基金(PFR)」を新設する。輸出信用公社(KUKE)、企業発展庁(PARP)、情報外国投資庁(PAlilZ)、産業開発公社(ARP)、開発投資公社(PIR)など既存機関を統合・改組する形をとる。 2020年までの達成目標としては、◇1人当たり国内総生産(GDP)をEU平均の79%に相当する規模に引き上げる◇対GDP比の投資額を現在の18%から25%に引き上げる◇中小企業数を2万2,000社に増やす◇ポーランド企業の外国直接投資(FDI)を70%増やす――などを挙げている。 政府の計画には、イノベーションの促進や貯蓄率向上など誰もが必要と考える要素が含まれる。しかし、支援対象となる業界を政府が決めるなど、政府による経済介入は広がる方向にある。 このため、経済リベラル派からは、立法や司法など投資の枠組みをしっかりさせる方が効果が大きいと批判の声が上がっている。また、イノベーションを進めるには競争促進が有効であり、エネルギー市場や大学間の競争を支援すべきとの指摘も出ている。

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