メキシコの大富豪カルロス・スリム氏が、出資するスペイン建設大手FCCの買収に乗り出した。残る全株式の取得を目指し、投資持ち株会社インベルソラ・カルソを通じて株式公開買い付け(TOB)を実施する。
インベルソラ・カルソは先ごろ、FCCの増資を引き受け、同社に対する持ち株比率を27.4%から36.6%に引き上げた。スペインの法令では、同比率が30%を超えるとTOB実施を求められることから、4日にTOBを発表した。1株当たりの買い取り価格は7.6ユーロ。4日の終値に15%を上乗せした水準となる。
FCCは2008年にスペインの不動産バブルが崩壊したことを受けて、業績が急速に悪化し、多額の負債を抱える。最近は新たな収益基盤を確保するため、廃棄物処理に進出するなど事業多角化に取り組んでいる。