欧州委員会は3月30日、ロシア携帯電話サービス大手のビンペルコムと香港の複合企業ハチソン・ワンポアがイタリアの携帯電話サービス事業を統合する計画について、本格的な調査を開始したと発表した。競争上の問題があると判断したためで、初期審査での認可を見送り、改めて合併の可否を詳細に調査する。
両社は2015年8月、ビンペルコム傘下のウインドとハチソン子会社の3イタリアを合併し、折半出資の合弁会社を設立することで合意していた。伊携帯電話サービス市場でウインドは3位、3イタリアは4位。統合で誕生する新会社は売上高が64億ユーロに上り、契約者数でテレコムイタリア、ボーダフォンを上回って首位に浮上する。
これについて欧州委は2月から審査を行っていた。その結果、競合関係にあったウインドと3イタリアの合併によって、イタリアで自前の通信ネットワークで携帯電話サービスを展開する事業者が4社から3社に減り、競争が弱まって料金の引き上げを招くほか、インフラ投資が停滞する恐れがあると判断。本格的な調査を進めることを決めた。8月10日までに合併の可否を最終判断する。
ハチソンは昨年3月、スペイン通信最大手テレフォニカの英携帯電話サービス部門O2を買収し、傘下の英同業スリーと統合することでも合意していたが、これに関しても欧州委が問題視し、本格的な調査を行っている。