欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2016/4/4

西欧

仏オレンジ、ブイグとの合併が破談に

この記事の要約

仏通信最大手のオレンジは1日、同携帯電話サービス3位のブイグ・テレコムとの合併交渉が不調に終わったと発表した。両社は3カ月前から協議を続けてきたが、条件で折り合いがつかず、実現に至らなかった。オレンジとブイグ・テレコムの […]

仏通信最大手のオレンジは1日、同携帯電話サービス3位のブイグ・テレコムとの合併交渉が不調に終わったと発表した。両社は3カ月前から協議を続けてきたが、条件で折り合いがつかず、実現に至らなかった。

オレンジとブイグ・テレコムの親会社であるブイグは1月、オレンジがブイグ・テレコムを現金と株式交換を組み合わせた方式で買収する方向で協議を開始した。買収額は100億ユーロに達すると目されていた。ブイグは株式交換によって仏政府に次ぐオレンジの2位株主となるはずだった。

フランスの携帯電話サービス市場はオレンジ、ニュメリカブル―SFR、ブイグ・テレコム、イリアッド傘下のフリー・モバイルの4強体制だが、フリーが2012年に低料金を掲げて参入してから価格競争が過熱し、各社の収益を圧迫している。このためオレンジとブイグ・テレコムは体力強化に向けて、合併を模索していた。これが実現すると、仏携帯電話サービス市場は3社体制に再編されることになっていた。

両社は合併が破談に終わった理由を明らかにしていないが、オレンジに23%を出資する仏政府がブイグに厳しい条件を突きつけたことが大きな要因となったもようだ。消息筋によると、政府はブイグに対して、オレンジ株式を高く評価するよう求めたほか、合併から7年間はオレンジに対する持ち株比率を引き上げないことや、議決権の行使を制限するよう要求したが、ブイグが受け入れなかった。

さらに、両社の合併で仏携帯電話サービス市場が3社に寡占されるため、EUの認可を取り付けることができない恐れがあることも障害となった。オレンジは同問題を回避するため、ブイグ・テレコムの通信インフラ資産の多くをニュメリカブル―SFRまたはイリアッドに売却する方向で交渉に乗り出したが、これにブイグが難色を示し、2社との協議も難航したと伝えられている。