欧州議会は13日の本会議で、発がん性が疑われる除草剤「グリホサート」の認可期間を短縮するとともに、非農業従事者による使用を禁止する内容の決議案を賛成多数で採択した。欧州議会の決議に拘束力はないが、EU加盟国の代表で構成される専門委員会の判断に影響を与える可能性がある。
グリホサートは米モンサントが開発した除草剤「ラウンドアップ」の主成分で、特許権が消滅した2000年以降はさまざまな農薬類に使用されている。EU市場では6月末にグリホサートの認可期間が終了するため、欧州委員会はさらに15年間の認可延長を加盟国に提案している。
グリホサートをめぐっては、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が昨年3月、発がん性の恐れがあるとする報告書を公表した。動物実験などのデータに基づき、5段階評価で2番目にリスクが高い「ヒトに対して恐らく発がん性がある」物質のグループに分類している。これに対し、欧州食品安全機関(EFSA)は昨年11月、グリホサートが「ヒトに対する発がんのハザードを有する可能性は低い」とする見解をまとめている。
欧州議会ではIARCの発表を機にグリホサートの安全性を懸念する声が高まっており、本会議では認可の延長期間を7年に短縮するとともに、非農業従事者による使用、さらに公園や運動場とその周辺への使用を禁止する決議案が賛成374、反対225、棄権102で採択された。
今後の手続きとしては、5月18-19日に開かれる専門委員会で欧州委の提案について採決が行われる。加盟国の意見が分かれて特定多数での承認または否決に至らなかった場合、欧州委が最終判断を下すことになる。