欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2016/5/9

EU情報

ユーロ圏の16年成長率、1.6%に下方修正=欧州委春季予測

この記事の要約

欧州委員会は3日発表した春季の経済予測で、ユーロ圏の2016年の域内総生産(GDP)伸び率を1.6%とし、前回予測(2月)の1.7%から0.1ポイント引き下げた。中国をはじめとする新興国経済の減速などを受けたもので、17 […]

欧州委員会は3日発表した春季の経済予測で、ユーロ圏の2016年の域内総生産(GDP)伸び率を1.6%とし、前回予測(2月)の1.7%から0.1ポイント引き下げた。中国をはじめとする新興国経済の減速などを受けたもので、17年の予想伸び率も1.9%から1.8%に下方修正した。

EU28カ国の予想成長率は16年が1.8%、17年が1.9%。それぞれ0.1ポイントの下方修正となった。(表参照)

ユーロ圏の今年1~3月期のGDP(速報値)は前期比0.6%増となり、伸び率は前期の0.3%から大幅に拡大。15年1~3月期以来の高水準に達した。しかし、欧州委は新興国の成長鈍化が深刻化しているほか、景気を下支えしてきた原油、ユーロ安に歯止めがかかり、上昇に転じていることなどから、下方修正に踏み切った。

国別の16年の予想成長率はアイルランドが4.9%で最高。ギリシャはマイナス0.3%と、EUで唯一落ち込むと予想した。ドイツは1.6%、フランスは1.3%、イタリアは1.1%、スペインは2.6%、英国は1.8%となっている。

ユーロ圏の予想インフレ率は16年が0.2%、17年が1.4%となり、それぞれ0.3ポイント、0.1ポイントの幅で引き下げた。欧州中央銀行(ECB)が上限目標値とする2%前後を大きく下回る。財政赤字についてはフランス、スペインがEUの財政規律で上限となっているGDP比3%を超える状況が17年まで続くとの見通しを示した。

一方、好材料となっているのは雇用。15年に10.9%だったユーロ圏の失業率は、景気の緩やかな回復に伴って改善が進み、16年に10.3%、17年に9.9%まで低下すると予想した。