欧州委員会は13日、中国製の熱間圧延平鋼に対する反補助金調査を開始したと発表した。欧州委は当該製品について3カ月前から反ダンピング(不当廉売)調査を進めているが、中国メーカーが政府の補助金を利用して不当な廉価でEU市場に輸出している疑いがあるため、輸出補助金についても並行して調査を行う。
熱間圧延平鋼は高温に加熱した金属材料を回転するロールに通して成形・加工した特殊金属。欧州委は今年2月、欧州鉄鋼連盟(Eurofer)の要請を受け、同製品を含む中国製の鉄鋼製品3品目に対する反ダンピング調査に着手した。
欧州委によると、輸出補助金に関する調査もEuroferからの申し立てを受けた措置。Euroferは中国政府が低利融資や有利な条件でのエネルギー調達などの形で国内メーカーに不当な補助金を提供し、ダンピング輸出を後押ししていると主張。また、中国政府は先月、米国との貿易摩擦を解消するため鉄鋼を含む7分野の輸出補助を廃止することで合意しており、その反動で今後は欧州向けの鉄鋼輸出がさらに拡大すると警告している。
欧州委は新たに導入された「損害の脅威」と呼ばれるメカニズムに基づき、反補助金調査の実施に踏み切った。同委は「現在の条件のまま輸入が継続された場合、域内の鉄鋼業界に経済的損害が及ぶおそれがあるため、早い段階での行動を決めた」と説明している。
中国の安価な鉄鋼製品が世界中にあふれるなか、EU向けの輸出は2013年の約300万トンから昨年は2倍以上の700万トンに拡大した。欧州委は現在、域内に輸入される鉄鋼製品について10件の調査を実施し、37品目に反ダンピング関税を課している。このうち中国製品は7件が調査対象となり、15品目に反ダンピング関税が適用されている。