バイエル、モンサント買収を検討か

製薬・化学大手の独バイエルが、米農業化学大手モンサントの買収を検討しているとの観測が浮上している。モンサントに対しては独化学大手BASFも関心を示しているとの情報があり、農業化学業界の再編は一段と加速しそうだ。3社はこれまで再編の動きから取り残されてきたが、事業規模を拡大しないと厳しさを増す競争で‘負け組’に転落しかねないことから、水面下で買収や合併の可能性を模索しているとみられる。

モンサントをめぐっては同社がバイエルの農業化学部門バイエル・クロップ・サイエンスの買収に向けて動いているとの観測が3月に報じられた。一方、ブルームバーグ通信は12日、バイエルがモンサント買収を検討していると報じた。両社は報道内容へのコメントを控えている。

モンサントは種子市場の世界最大手。これに対しバイエルとBASFは農薬分野に強く、モンサントとは事業の重複が少ない。このため仮に買収や合併で合意した場合、独禁法上のハードルは低い。ただ、時価総額400億ドルのモンサント買収は資金面でのハードルが高いことから、バイエルとBASFがそれぞれの農業化学部門をモンサントとの合弁に切り替えるとの見方もある。

農業化学市場では新興国通貨と農産物価格の下落を背景とする農家の資金力低下を受けて需要が減少。状況改善の見通しは立っておらず、業界再編の機運が高まっている。米化学大手ダウ・ケミカルとデュポンは昨年12月、合併したうえで素材、特殊製品、農業化学の3分野に分社化することで合意しており、農業化学の新会社は売上高でモンサントやシンジェンタ(スイス)を抜いて最大手に浮上する見通しだ。

モンサントは昨年、シンジェンタ買収を目指して失敗した。シンジェンタは今年2月、中国の大手化学メーカー中国化工集団(ケムチャイナ)の買収提案受け入れを表明しており、モンサントはバイエル、BASFとともに業界再編の動きから取り残されている。

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