製薬大手の独バイエルは17日、アイルランド企業ERSゲノミクスが管理するゲノム編集の特許を利用することで合意したと発表した。バイエルはゲノム編集技術を活用して遺伝子疾患の治療法を開発・市場投入する方針を打ち出しており、昨年末には同分野で活動するスイスのバイオ新興企業クリスパー・セラピューティクスと提携で合意した。ERSゲノミクスとの合意も同方針に基づくもの。取引金額は明らかにしていない。
ゲノム編集は酵素の働きを利用して標的とする遺伝情報を変更する技術で、従来の遺伝子組み換え技術に比べて操作の成功率が極めて高い。このため、遺伝子疾患の治療法として大きな期待がかけられている。
ERSゲノミクスはゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」の共同開発者であるウメオ大学(スウェーデン)のエマニュエル・シャルパンティエ教授が持つ基本特許群を管理する企業。バイエルは声明で今回の合意を「クリスパー・セラピューティクスとの提携を理想的な形で補完するものだ」との認識を示した。
バイエルは先ごろ、クリスパー・セラピューティクスと合弁会社を設立した。血液疾患、先天盲、先天性心臓疾患の新しい治療方法を開発し、商品化することを目指す。