欧州委員会動向、EU域内産業・サービス・政策をウオッチ

2014/5/26

ロシア・CIS・その他

ウクライナ大統領選、親EU派ポロシェンコ氏の当選確実

この記事の要約

ウクライナで25日に実施された大統領選で、親EU派のピョートル・ポロシェンコ元外相(48)の当選が確実となった。主要メディアの出口調査によると、ポロシェンコ氏の得票率は55.7~57.3%と、過半数を超過。これによって決 […]

ウクライナで25日に実施された大統領選で、親EU派のピョートル・ポロシェンコ元外相(48)の当選が確実となった。主要メディアの出口調査によると、ポロシェンコ氏の得票率は55.7~57.3%と、過半数を超過。これによって決選投票を待たず、第1回の投票で当選が決まる見通しで、同氏は25日夜に勝利を宣言した。

2月のヤヌコビッチ政権崩壊を受けて実施された大統領選には、ポロシェンコ氏、ティモシェンコ元首相など21人が立候補した。出口調査では、暫定政権が擁立したティモシェンコ元首相が得票率12.4~12.9%で2位となっている。

今回の第1回投票で過半数の票を確保した候補者がいない場合は、6月15日に上位2人による決選投票が実施される。ドネツクなど東部の一部地域では、親ロ派の武装勢力による選挙妨害で、投票所の大半で投票が行われなかったが、これらの票を換算してもポロシェンコ氏の優位は揺るがない見通しで、最終集計でポロシェンコ氏が50%以上の票を獲得するのは確実な情勢だ。

ポロシェンコは大手菓子メーカーの経営者で、国内有数の富豪として知られる。2004年のオレンジ革命で発足したユーシェンコ政権で外相を務めた。同氏は旧ソ連邦崩壊後の国営企業民営化に乗じて財を成した国内の多くの富豪と異なり、起業して一代で大手菓子メーカーを築き上げた「たたき上げ」の人物。その実務能力や、親EUを掲げながらもビジネスでのパイプを持つロシアとの関係改善、国内の親ロ派勢力との融和も重視する姿勢が評価され、最有力候補となっていた。暫定政権が推すティモシェンコ候補も親EU派だが、暫定政権がロシアのクリミア編入、親ロ派武装勢力の台頭を許し、国内分裂の危機を招いて求心力を失ったため、返り咲きはならなかった、

勝利宣言したポロシェンコ氏は記者団に「最初の課題は争いと混乱、無秩序に終止符を打つことだ」と述べ、東部地域の親ロ派住民との融和、ロシアとの関係改善に取り組む意向を表明。近く東部を訪れ、親ロ派との対話を進める不振を示した。

ロシアのプーチン大統領は、選挙結果を受け入れ、新大統領と危機打開に向けて協力していく姿勢を示していた。ただ、東部で投票を行うことができなかったことで、選挙を無効と宣言する可能性もあり、今後の出方が注目される。