欧州裁が英政府を支持、移民の児童手当制限めぐり

欧州司法裁判所は14日、英政府が他のEU加盟国からの移民の児童手当を制限していることを認める判決を下した。欧州委員会はEU法に反するとして提訴していたが、訴えは棄却された。

英国では同国の手厚い社会保障制度の恩恵を受ける目的でEUの中東欧諸国などから大量の労働者が流入し、財政を圧迫しているとの批判が強まったことを受けて、移民の児童手当受給要件を厳格化し、正式な滞在許可があるかどうかをチェックしている。これに関して欧州委は、英国民にはこうした制限がないことから、EU法に反する差別的な措置として、2014年に提訴していた。

欧州裁は同制限が「間接的な差別的措置」に当たるとしながらも、「財政を守る必要性から、正当化できる」として、訴えを退けた。

23日にEU離脱の是非を問う国民投票が実施される英国では、離脱支持派がEUの一員であることで国家主権が脅かされていると主張しており、移民への社会保障問題も大きな焦点のひとつとなっている。政府の制限が認められたことは、残留派にとって好材料となるが、離脱派も英国の政策の正当性がEUの裁判所の判断に左右されることが浮き彫りになった面もあり、両派はキャンペーンで今回の判決を有利なように持ち出すことが予想される。

上部へスクロール