欧州委が環境ホルモンの評価基準を策定、関連機関に認可製品の再評価指示

欧州委員会は15日、殺虫剤や殺菌剤などの殺生物性製品や農薬に含まれる内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)を特定するための評価基準を発表した。世界保健機関(WHO)による内分泌活かく乱物質の定義に基づき、厳格な科学的判断基準を設定することで、最も高いレベルで人間の健康と環境を保護することができると説明している。今後、欧州議会と閣僚理事会で欧州委の提案について検討する。

内分泌かく乱化学物質は環境中に存在する化学物質のうち、動物の生体内に取り込まれた場合にホルモン作用を引き起こしたり、逆にホルモン作用を阻害する外因性の物質。代表的な物質としてダイオキシン、PCB、DDT、ビスフェノールA、トリブチルスズなどがある。

EUでは「殺生物性製品の販売および使用に関する規則」(2013年制定)で健康被害をもたらす危険性が指摘される物質をリストアップし、欧州委が13年末までに内分泌かく乱物質を同定するための科学的な基準を策定することになっていた。しかし、内分泌かく乱物質を含む製品はEU市場で販売できなくなるため、そうした事態を懸念する化学業界が追加調査を求めて欧州委への圧力を強めた結果、基準の策定が大幅に遅れ、昨年12月にはEU司法裁判所の一般裁判所が「欧州委は規則の策定義務を怠った」として違法判決を下していた。

欧州委はWTOの定義に従い、内分泌かく乱物質の判断基準を「生体内に取り込まれた場合、内分泌系に影響を及ぼして本来の正常なホルモン作用を乱し、それによって人体に有害な影響を引き起こす物質」と定めた。そのうえで、欧州食品安全機関(EFSA)と欧州化学品庁(ECHA)に対し、殺生物性製品規則および「植物保護製品の認可、上市および管理に関する規則」(09年制定)に基づいて域内での販売が認可されている製品について、今回示した新たな基準に沿って速やかに安全性を再評価するよう求めた。

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