スコットランド自治政府のスタージョン首相は6月29日、欧州委員会のユンケル委員長、欧州議会のシュルツ議長などEUの要人と会談し、英国のEU離脱後もスコットランドがEUにとどまる決意を示した。これに対してEU側は、ユンケル委員長が「スコットランドは意見を聞いてもらう権利がある」と述べるなど理解を示したものの、英国の内政に干渉しないとして、直接交渉に応じない意向を表明。このためスコットランドは英から独立し、EUにとどまることを模索するとみられる。
英国のEU離脱の是非を問う国民投票で、スコットランドは残留派が62%と多数を占めた。これを受けてスタージョン首相は、投票結果が判明した直後にEU残留の道を探る意向を表明していた。
スコットランドは2014年9月に英国からの独立をめぐる住民投票を実施し、独立反対派が55.3%、賛成派が44.7%で独立が否決された。しかし、英のEU離脱が決定したことで、再び独立の気運が高まっている。
スタージョン首相は独立の是非を問う住民投票の再実施に向けた法的手続きに着手する方針を打ち出している一方で、EUとの直接協議によって残留を取り付けることも視野に入れている。しかし、EU内では国内に独立問題を抱えるスペインが、スコットランドの動きが同国に波及することを強く警戒しており、ラホイ首相は29日、EUによる直接協議に反対することを明言。EUも慎重で、今回の会談で独立への支持は表明しなかった。トゥスク大統領(欧州理事会常任議長)はスタージョン首相との会談に応じなかった。
スタージョン首相は一連の会談を終えた後の記者会見で、「スコットランドの立場と、EUにとどまりたいという意思を伝える良い機会だった」と発言。EU残留への道のりは険しいとの認識を示しながらも、その実現に取り組んでいく決意を表明した。