欧州委員会が米グーグルのインターネット広告事業をめぐり、EU競争法違反の疑いがあるとして、新たな警告を出す準備を進めているもようだ。欧米メディアが6月27日、関係者の話として報じた。7月中にも異議告知書を送付する計画という。欧州委はこれまでに、グーグルの比較ショッピングサービスと、携帯端末向け基本ソフト(OS)「アンドロイド」をめぐって異議告知書を送っており、今回が3件目となる。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、欧州委が問題視しているのはグーグルの検索連動型広告。グーグルのウェブサイトや傘下の動画共有サイト「ユーチューブ」、グーグルと提携関係にある検索サイトの検索結果画面にテキスト形式の広告を表示するサービスで、広告主向けの「アドワーズ」と媒体社向けの「アドセンス」がある。欧州委はグーグルがネット広告市場における支配的地位を利用して、媒体社に対してグーグルと競合するサービスが配信する広告を掲載しないよう求めたり、アドワーズを利用している広告主が競合するサービスに乗り換えるのを厳しく制限していたとの疑いを強めている。
グーグルでは2015年の売上高750億ドルの90%を広告収入が占めている。欧州委が最終的に競争法違反と判断した場合、同社は最大の収入源である広告事業の見直しを迫られる可能性がある。
一方、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、欧州委はグーグルに対し、競争法違反を正式に警告している比較ショッピングサービスについて、近く「追加的異議告知書」を送る見通しという。欧州委は昨年4月、グーグルが検索サービスにおける独占的地位を乱用し、検索結果ページで自社の商品価格比較サイト「グーグルショッピング」を優先的に表示し、競合するサービスを不利な立場に置いて結果的に消費者の選択を狭めているとの見解をまとめ、同社に異議告知書を送付した。
これに対し、グーグルは8月、欧州委はアマゾン・ドット・コムやイーベイといった大手ネット通販の急成長を十分に考慮しておらず、オンラインショッピング業界の現状を正確に把握できていないなどと反論。グーグルの商慣行が公正な競争を阻害しているとの批判には根拠がないと主張していた。
FT紙によると、欧州委はグーグル側の反論を受け、大手ネット通販とグーグルの力関係などに重点を置いてさらに詳しく市場分析を行い、その結果をもとに追加的な異議告知書の策定を進めているという。