英でマスターカードに対する集団訴訟、不当な手数料めぐり

英国で8日、国際クレジットカード大手マスターカードに対する集団訴訟が提起された。原告側はマスターカードが1992~2008年までの16年間にわたり、加盟店から不当に高い手数料を徴収したことで、結果的にカード会員が損害を受けたと主張。140億ポンドの損害賠償を求めている。15年に施行された消費者保護法により、今回の事案は約4,600万人に上る英国のマスターカード会員による集団訴訟となる(オプトアウトの手続きをとった場合は除外)。

マスターカードを相手取って訴えを起こしたのは、金融オンブズマンサービス(FOS)のトップを務めたウォルター・メリックス氏。同氏は代理人の大手法律事務所クイン・エマニュエルが競争審判所に提出した訴状で、「損害賠償請求はマスターカードの商慣行に対して消費者が受けるべき補償の最初の一歩だ。今回の訴訟は英国における消費者救済の重要な分岐点になる」とコメントしている。

マスターカードの手数料をめぐっては、EU司法裁判所が14年9月、同社に対して国境をまたいだカード決済にかかる手数料(マルチラテラル・インターチェンジ・フィー=MIF)の廃止を命じた欧州委員会の決定を支持する判決を下し、マスターカードによる競争法違反が確定している。今回の訴訟は同判決を受けた動き。クイン・エマニュエルは今後の展望について、マスターカードの手数料についてはすでに違法との判断が下されているため、今回は同社の反競争的行為によって消費者が損害を被った事実を証明できれば損害賠償請求が認められると主張している。

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