欧州委員会は7日、航空保安検査機器を対象とするEU共通の認証制度の導入を提案した。国ごとに異なる認証制度を一本化することで、ある国で認証された保安検査機器を域内全域で販売することが可能になり、セキュリティ産業の分野で欧州企業の競争力を高めると共に、EU全体で航空安全を強化することができる。
航空保安検査機器は空港の保安検査場に設置されているボディスキャナーや、手荷物、預け入れ荷物、航空貨物、郵便物に危険物が混入していないかチェックするためのスクリーニングシステムを指す。こうした検査機器の市場規模は世界全体で140億ユーロに上り、このうち欧州での売上高が約42億ユーロを占めている。
EUでは域内の空港に設置する保安検査機器の技術仕様や性能要件を定めているが、各空港の検査機器がEUの求める要件を満たしているかどうかをチェックするシステムが整備されていないため、域内のある国で認証された検査機器を他の国で販売できない事態を招いている。EU共通の認証制度を確立することで、ある国で認証を受けた検査機器は自動的にすべての加盟国で販売できるようになり、EUの基準を満たした高度なセキュリティシステムが域内の全空港に確実に導入されるようになる。
欧州委のアヴラモプロス委員(移民・内務・市民権担当)はEU共通の認証制度を導入する狙いについて、「テクノロジーの助けを借りて具体化する前の段階でさまざまな脅威を排除し、EU市民と欧州社会全体のための安全対策を強化することができる。航空保安検査機器の認証ルールを簡素化することで、EUの厳しい検査基準が域内全域に適用されるようになり、同時に欧州セキュリティ産業の競争力強化にも貢献する」と説明している。